河尙淑 HA Sang-sook

河尙淑

HA Sang-sook

朝鮮忠清南道に生まれる、1944年16歳で8ヶ月間動員、中国に残された

まず軍医による検査があり、

避妊の注射を打ちました。

最初に三人の軍人の相手をしたあとは、

おしっこをすると刃物で

切られたような痛みが走りました。

ある日、綺麗に化粧をした隣の家のお姉さんが来ました。「日本の工場でお金を稼いでいる、今度は上海に行くので一緒に来ないか」と言われました。私は良いと答えました。数日後、二人の男が私を訪ねてきました。

汽車で京城(現在のソウル)へ向かい、別の場所から来た四十人ほどの女性と合流しました。再度汽車を乗り継ぎ、丹東と南京を経て、船で武漢まで来ました。

漢口の積慶里に到着したときは、最初に聞いていた話と違ったので茫然としてしまいました。

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まず軍医による検査があり、避妊の注射を打ちました。最初に三人の軍人の相手をしたあとは、おしっこをすると刃物で切られたような痛みが走りました。

私の部屋は二階にありましたが、一階に写真が掛けられていて、軍人は写真を選んで部屋に来ました。日曜日になると軍人が外に列を作っていました。一人当たり一時間と決まっていて、それを過ぎると主人に叱られました。

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戦争が終わり、朝鮮人は積慶里に集まりました。多くの女性は朝鮮に帰りましたが、

こんな体で帰ってもどうしようもないと思い、帰りませんでした。私は子どもを産めない体で、三人の娘がいる中国人男性と結婚して暮らしました。

* 初めておばあさんに会いに武漢に行ったのは2001年だった。私が履いていたズボンが机の角に引っかかって破れているのを見て、「男がそんな恰好をしていてはいけない」と言いながら、履いたままのズボンを繕ってくれたことが忘れられない。おばあさんは2015年に二階の階段から落ちる事故に遭い、現在は韓国に移って治療中だ。